SVP東京15周年スペシャルダイアローグ(前編)日本と世界、15年の変化
先日、SVP東京が開催する「15周年・スペシャルダイアローグ」に登壇しました。
今回はその時の様子を
- 前編(この記事です)
- 後編
- 渋谷のラジオ(特別版)での振り返り
の3つに分けて、お伝えします。
■SVP東京とは何か
まずは、SVP東京って何?という方向けに簡単な解説を。
SVP東京とは、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、資金の提供と、パートナーによる経営支援を行う団体です。
図の左側にある「ソーシャルベンチャー」。
図の右側にある「SVP東京のパートナー」。
これをつなぐプラットフォームであり、媒介役がSVP東京です。
パートナーは、1口10万円の資金を提供すると共に、ソーシャルベンチャーに対して経営支援を行います。
これを「ソーシャルベンチャーへの伴走」と表現しています。
上でもなく、下でもなく、隣にいて成長を支える存在です。
支援に対してソーシャルベンチャーは、成果、すなわち自らの事業の成長と、社会的課題解決の促進、あるいは次世代に必要な価値創造で応えます。
■世界に広がるネットワーク
SVP東京は、北米に端を発するSocial Venture Partnersのネットワークの一員です。
SVPのネットワークは世界8ヵ国、アフィリエイト数でいえば40を超え、グローバルなネットワークへと成長しています。
SVP amplifies the impact of those out to do good – connecting and supporting donors, nonprofits and social enterprises so we can make greater impact together.
40+ affiliates, 8 countries, over 3,400+ partners, $70M to 900 capacity-supported nonprofits.
■イベントの位置づけ
今回のイベントは、そんなSVP東京の15年間の来し方を振り返り、これからを考える機会の一環として開催されました。
登壇者は全員で5名。
このうち3名は、
- 初代代表の井上英之さん
- 2代目代表の岡本拓也さん
- 3代目代表の藤村隆さん
のSVP東京の歴代の代表です。
ここに、創業初期にSVP東京の投資・協働先となったNPO法人マドレボニータの吉岡マコさん。
そして私が加わり、計5名での登壇となりました。
歴代の3代表が揃い踏みで登壇するイベントは初めてとのこと。
大変貴重な機会にお招き頂き、とても嬉しく思った次第です。
登壇前に書いたブログはこちら。
URL:https://www.kazetotsubasa.com/4329/
このブログにも書いた通り、私にとっては4名ともに、とても刺激を受け、共に学ばせて頂いている方々です。
私は第1部と第3部に登壇しました。
前編と後編では、第1部でどんな内容をお話したのか、共有しておきたいと思います。
そして渋谷のラジオ、特別編では、第3部での話題に触れると共に、なぜ私が、今回のスライドを創ろうと思ったのか、その意図にも触れたいと思います。
■第1部トークセッション
第1部では、SVP東京の現代表である藤村隆さんと共に登壇しました。
タイトルは
「日本と世界の変化を振り返りながら考える
SVP 東京が日本にもたらしたインパクト」
です。
登壇テーマを頂いて、「光栄だなあ」と思いながらも、どんな風にお話するかについて、自分の中には若干の迷いが。
なまじ専門領域であるために、語り出すとかなり長くなってしまう。
それに、時間帯は日曜の午後。対象はほぼ社会人。難しい話を聞きたいわけでもないだろう。
こちらもそうしたいわけでもない。
ということで、今回は
- ざっくりと20年ほどのタイムスパンを置き、ダイアローグに参加されている皆さんそれぞれの、その時その時にことを振り返って頂く
- ご自身の人生を補助線としながら、同時代に日本と世界に起きていたソーシャル界隈のトピックスが何だったか、解説する
- その上で、SVP東京の軌跡をトラックしていく
という方法を取りました。
■実際のプレゼン資料
実際のトークはこんな形で進めました。
▼日本の変化
まず、2000年~2018年まで、日本ではどんなことが起こっていたのか、概観。
象徴的なのは、東日本大震災(2011)を挟んで、2度の政権交代と、災害の多発でしょうか。
戦後初の人口減が始まったのは2005年。平成の大合併もこの頃がピークでした。
これだけだとちょっと無味乾燥だったので、こんなものもの重ねてみました。
ダイアローグの会場は品川にあるKOKUYOさんのスタジオだったのですが、よく考えたら新幹線の品川駅って、開業は2003年なんですよね。
ディズニーシーも2000年には無かった。もうなんだか当たり前に存在しているような気がしますが。
スライドを投影した瞬間に、フロアから拾われていたトピックスは、「あまちゃん」とか「いいとも終了」とか「安室奈美恵さん引退」とか…w
このパーツは、「そういえばそんなことあった!」「そうだったよね!」と参加者の皆さん思って頂き、同時代にタイムスリップして頂きたくて入れたものでしたが、狙い通りになって何よりでした、笑。
▼世界の変化
さて、続いてここに、世界の変化を重ねてみます。
世界といっても、この後のスライドの繋がりの関係上、欧米にフォーカスがある内容になっています。
同時多発テロ、イラク戦争、難民問題など、スライドを作ってみると、アメリカの地位の変化やヨーロッパの変容を感じる内容が並びました。
リーマンショックも大きかったですね。これは社会的投資の世界にも大きな影響を与えていると思います。
「世界の変化」編では、ITやSNSの登場時期を重ねてみました。
ipodやiPhoneの発売時期(2001年,2007年)、LinkedInやFacebook、Youtubeの登場(2003年、2004年、2005年)など、枚挙に暇がありません。
IoTやフィンテックやシェアリングエコノミーなども大事なキーワードでしょうか。
そしてこれらの変化は、TwitterやFacebookの日本上陸(2008年、2010年)など、ピンク色の枠内に記した、日本の変化ともダイレクトに連動しています。
▼世界の変化(ソーシャル編)
ここに、世界の変化のうち、チャリティやソーシャルエンタープライズ、社会的投資に関係するものをプロットしてみました。図中では濃い青色部分にあたります。
チャリティ改革は97年~のブレア政権下で始まっていますので、本当は年表の枠外ですが、社会的企業の成長戦略の公表(2003)やその後のCIC(コミュニティ利益会社)の法制化(2004)などと繋がっていますので、図中に置いておきました。
世界で初めて社会的インパクト投資という言葉が登場したのは2007年にロックフェラー財団によるものだと言われていますが、2000年に英国で登場した社会的投資タスクフォースの影響も強いと思います。
ちなみにこの当時の議長は、G8社会的インパクト投資タスクフォース(現:Global Social Impact Investment Steering Group)の議長でもあるコーエン卿が務めています。
責任投資原則は2005年。国連がESGを提唱したのは2006年。こうした流れは金融の在り方に強い影響を及ぼしています。
▼日本の変化(ソーシャル編)
ここで、日本に再度戻ります。
NPO法が施行されたのが1998年、今から20年前です。英国ではチャリティ制度改革の真っ最中ですね。
公益法人制度改革は2000年~2008年にかけて。
関連3法が衆参通過したのが2006年なので、ここでは2006年に置いています。
2008年12月1日が法の完全施行日なので、そこから数えればちょうど今から10年前の話です。
米国では同じ頃、オバマ政権が誕生し、英国では休眠預金法が成立していますね。
経済産業省で「ソーシャルビジネス」という言葉が使われ始めたのもこの頃です。
造語でしたが今では定着しましたね。
そうそう、コレクティブインパクトに関する論文がStanford Social Innovation Reviewに登場したのは2011年です。日本は東日本大震災の頃ですね。
2015年にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRI(責任投資原則)に署名。2005年から数えて10年後にあたります。
「地方創生」という言葉が政策的に使われるようになったのは第2次安倍政権から。
いわゆるローカルアベノミクスですね。
多地域居住、移住といった概念と繋がりますし、暮らし方・生き方の変化は副業、パラレルキャリア、シェアエコといった概念に繋がるかなと思います。
・・・・と、ここまで書いたところで、これらをいったん、置いておきます。
ここに、SVP東京の軌跡を重ねるとどうなるか。