目に見えない価値、どうやって見るのか試される8時間半/世田谷まちづくりファンド、審査会でした。

世田谷まちづくりファンド、第24回目の公開審査会でした。
1.団体が決められた時間でプレゼンをし、
2.委員がその場でコメントして審査
3.審査の結果は委員が直接模造紙に金額を入れる
という、その透明ぶりが激しい世田谷まちづくりファンド公開審査会。
採択結果はこんな感じで大公開されます。
<審査員の模造紙への書き込み。フロアからの視線を痛い程感じます>
誰がどこに入れたか、金額はいくらにしたのか、一目瞭然です。
審査員としては恐ろしいほどの大公開。超緊張します。なぜならば、団体から、直接考え方問われるから。

そして団体に対するコメントや改善要望を、1団体ずつ全てにフィードバック。
私の場合はその場でPCにテキストでまとめています。これは単に忘れそうだからが理由です。なにせ数が多い。後日やろう、は私は無理だと判断し、とにかくメモメモ。毎回合計7〜8ページにはなります。
コメントは団体に返され、ウェブに公開されます。なので、聞きながら、書きながら、質問しながらの8時間半です。
ラップでプレゼンする人や、演劇始める人、歌を歌う人、なーんていうプレゼンテーションもあります。
マイクの周りぐるぐる子どもが歩いてることも、車椅子など障がい当事者の方が登場、なんていうケースも。
<大学4年生の彼はラップでプレゼン>
今年も8時間半の審査会を経て、約30件の採択団体が決まりました。
印象的だったのは18歳の彼女達。自分達よりも少し後輩の小学生、中学生向けに活動したいと。そしてこういう場に出て話すの初めてですって、そりゃそうですよね。それだけでも本当に凄いチャレンジだなぁと思います。
とてもカッコ良いし、とても尊い。
<こういう取り組みを応援しようと、10代まちづくり部門、なんていう助成部門もあります>
まちづくりファンドには、実に多様な取り組みが集まります。
例えばグリーフケア、例えば極めて丁寧な認知症の家族支援。
音楽をコミュニティに届ける活動や、児童養護施設での学習サポート。
切られてしまった木をなんとかしたいという人もいれば、残された都市農園の話をし始める人もいる。
そして、事業性も、経済合理性もない取り組みも数多く存在します。

それで良いのか、続くのか、継続性は?事業性は?と詰め寄られればひるむかもしれません。
けれど、ではこういう活動が無くて良いのかと言われるとそうではないと思います。
<審査前にポスターセッション=質問&交流タイム>
実際、初年度自分が票を投じなかったり、減額採用した団体が、合議の結果採択され、次年度ちゃんと成長して戻ってくることもあります。
そんな時、あぁ良かったな、って思うのです。世界の見方が1つでないことや、また新しい視点を得られたこと、自分が見てる世界だけが正解ではないんだということを、こんな風に優しく、でも説得力を持って感じられる場があることに。
私の場合、もちろんそれは仕事をする上でも意味がありますし、でもその前に1人の人間として、この経験は本当に貴重です。
まちづくり活動の、目に見えない価値を、目をしっかり開いて見つめたり、ぎゅっと閉じて考え込んだりしながら過ごす8時間半。
民間の公益的な活動には、”行けいけどんどん”な取り組みも、スローで見えにくいけど、それでもやっぱり世の中を生きやすく豊かにしている取り組みも、両方ある。
この場に来るといつも、その両方の価値や意味を、理解していられる人間でいたいなと思うのです。
2016年06月06日 | Posted in 過去ブログからの移行記事(2017年3月以前) | | Comments Closed 

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