助成プログラム「”君は未知数”基金」のユニークネス

先週リリースとなったサントリーさんの「次世代エンパワメント活動『君は未知数』」。

とても多くの方々からの関心を感じ、この分野の支援の大切さを改めて実感しています。

前回の投稿では「次世代エンパワメント活動『君は未知数』」の「全体のコンセプト」をお伝えするのみでしたので、今日は、同時にリリースされた中核的な取組みのひとつ、「非営利団体向けの助成プログラム」についてご紹介です。
(あくまで私の個人的な視点でのご紹介です。)

私個人の視点からにはなりますが、今回の助成プログラムのポイントは3つあると考えています。

①ユース世代の可能性を支える助成プログラムであること


今回の助成プログラムの特徴のひとつとして
子どもから大人へ移行する『10代』という心身の発達とゆらぎが交差する複雑な時期にフォーカスしていること」が挙げられます。

「少子化対策」として、乳幼児支援が広がってきたこの10年の日本社会の変化の一方で、ユース世代への支援の手はなかなか広がってきませんでした。

あるとすれば、奨学金や高校無償化といった経済的な観点からの支援が主だったように思います。

今回のプログラムは、
・子どもたちの「好き」や「やってみたい」を尊重すること
・子どもたちそれぞれが持つ、固有性や多様性を大切にすること
・子どもたちが権利主体として、尊重される環境を整えること

が重視されています。

このこと自体が、まず、とてもユニークだと感じます。

②非営利組織の成長を支える助成であること

2つめの特徴として挙げられることは、
子どもたち自身が持つ可能性を信じ、支える意思を持つNPOを支えようとしていること」です。

子どもたちはそれぞれ、生まれ持った固有の可能性があります。

それを尊重しつつ、社会とのつながりの中で、その豊かさが花開くよう、未来へと誘うこと、あるいはそっと背中をおしたり、見守る大人を増やすこと。
その役割を「子どもたちを支える非営利組織」に期待し、そうした団体を支える意思を持つのが、この助成プログラムです。

募集要項の
「事業・活動に期待すること」の中には、
「関わる担い手(つまりNPO等のことを指します)が 10代の子ども・若者の権利を守ることの意義を理解し、そのために必要な知識やスキルを学び、更新し続けること」とあります。

一方的に大人の価値観を押し付けるのではなく、子どもたち自身の選択を尊重することや、子どもたちの成長に向けて、長期的な視野を持って関わること。
そして「自分たち自身が学びをアップデートし、成長を続ける意思を持つNPOを応援しよう」という、姿勢の表れだと感じます。

③柔軟さを持つ助成であること

最後は「柔軟さ」です。

募集要項の「助成金の使途」の欄には、こう記載されています。

「事業・活動を発展させるためには、日々の運営資金に加え、成長・発展のための資金や時間の投資が必要です。今回は、そうした事業・活動を発展させるための取り組みに対し、2年間で最大1,000万円を助成します。」

助成金という、個別の内容ではなく、より大枠の「君は未知数」のプログラムのそもそもを考えているタイミングで「NPO側の課題」の洗い出しを行いました。

この時、話題として挙がったのが、まさにこの部分、つまり
・NPO側が、成長や発展のための資金と時間を投じる余裕がない
・そのことが、目の前の課題解決を超えた、システム全体へのアプローチやセクターを超えたコラボレーションの機会創出を、現実として阻んでいる
といった「課題」であり「壁」でした。

こうした「壁」を乗り越えようと、今回のプログラムでは、費目の縛りや費目間の割合制限は設けられていません。
人件費ももちろん、助成対象となっています。


以上が、「次世代エンパワメント『君は未知数』」のプログラム全体の設計をお手伝いした立場から私が感じた、今回の助成プログラムの特徴です。

助成金そのものの詳細設計や、申請・審査にかかるさまざまな事務局業務は、NPO法人ETIC.さんが担われていますので、ぜひ細かな質問がある方はそちらにもお問い合わせ頂けると良いと思います。

サントリーの皆さんが思いを込めて作られた今回の助成プログラムを通じて、ユース世代を支える日本の非営利組織の成長がまたひとつ、進むことを期待しつつ!

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