エコシステムをどう作るか?~インパクト投資セミナー(第2回)登壇を通じて思ったこと
GSG国内諮問委員会が主催するインパクト投資セミナーに登壇しました。
今回のテーマは
「インパクト投資拡大に向けた提言書を読み解く~インパクト投資の今とこれから~」です。
■セミナーの趣旨
今回のセミナーの主題は、2020年4月に公開した、こちらの提言書です。
コロナ禍の中でのセミナーです。完全オンラインでの開催となりました。
■私の役割
私の役割は、執筆者として上記提言書でまとめた知見を、参加者の皆さんに共有することです。
一方で、「単なる解説」で終わらないように、特に後半はキービジュアル集を
- 説明する
よりも、
- 提言書の核となる部分を読んで頂く
- その上で、それぞれのお立場から意見を寄せて頂く
- それを通じて、インパクト投資のコミュニティの一員になって頂く
ことを意図して進行しました。
具体的には、次の5つのステップを踏み、参加者の皆さんに「せーの!」でオンライン上に意見を書き込んで頂く形を採りました。
また無茶を言いまして、
- 本編の前には、懇談的な場として「プレセッション」を
- 本編の後には、引き続きディスカッションしたい方向けに、「エクストラセッション」を
設ける形としました。
セミナーなので、「1人で喋っておしまい」にすることももちろん可能です。
しかし今回のセミナーの目的は、「知見をインプットすること」だけではなくて、「インパクト投資のエコシステムやコミュニティを創る一環」だと考えました。そこで採ったのが上の方法です。
結果、オンライン上のページには、素晴らしい意見やコメントを数多く寄せていただきました。
また60名を超す参加者のうち、約半数がエクストラセッションに残って下さいました。
ブレイクアウトルームでのディスカッションもとっても活発だったとのこと。
終了時に退出する際、皆さんが御礼や感謝のコメントを残して下さった方もいらっしゃって、本当に嬉しかったです。
■学びながらエコシステムの形成を
提言書の作成を通じて実現したかったことの中に
- 目指す社会の姿を可視化すること
- コミュニティやエコシステム醸成のきっかけをつくること
があります。
提言書の執筆・作成の最終段階でコロナ禍に直面し、公開後はリアルなイベントは一切開催出来ていません。
そんな中、オンラインでのディスカッション形式に思い切って舵を切ったわけですが、110分間のチャレンジは、自分にとっても価値深いものになりました。
トライしてみて本当に良かったです。
そして思い切って舵を切れたのは、事務局を務めて下さっている社会変革推進財団さんの全面的なバックアップのお陰です。
オンライン投票やブレイクアウトルームの管理、スプレッドシートの集約、コメント集約、進行管理など、参加者には見えないところで本当に沢山支えて頂きました。
コロナ時代はまだまだこの先長そうです。
リアルのワークショップやファシリテーション、コーディネートが出来ないのは実はとっても寂しいし悲しいです。
しかしインパクト投資の必要性は、コロナ禍の世界に「Build Back Better」を実現するためにも高まるばかりですし、出来る努力を続ける必要があります。
セミナーの中で、「インパクト投資は黎明期から成長期へ」と語りました。
しかし、それを実現するには、担い手の多様性が欠かせません。
つまり多様なチャレンジが必要なのです。
インパクト投資は、手探りの中、イノベーターの頑張りで個別の具体例が生まれてきました。それは日本でも世界でも同じだと思います。
この先日本で、インパクト投資のより豊かな生態系を育むためには、それぞれのチャレンジが支えられ、歓迎されるあたたかな場が必要だと感じます。
コロナによって、対面での出会いが難しい状況の中で、チャレンジャーが称えられ、切磋琢磨する知見豊かであたたかな場をどう生み出していくか。
インパクト投資のエコシステムも、そのことが問われているように思うのです。
リアルで会えなくても、インパクト投資のエコシステムやコミュニティが育まれていく過程を、自分なりに考え作っていきたいなと思ったセミナーでした。