地域や社会を良くするソーシャルグッドな寄付とは?/楽天IDOでのセッション
昨日投稿しました楽天株式会社によるソーシャルインパクトの祭典「楽天IDO」(Rakuten Impact Days of Optimists)
審査員をさせて頂いた「楽天ITスクールNEXT」の終了後、別途こんなセッションに登壇させて頂きました。
本セッションでは、
- 「寄付」をテーマにしたキーノートスピーチと
- その後に続く楽天株式会社の地域創生事業部の皆さんのプレゼンテーションへのコメント役
を担わせて頂きました。
■キーノートスピーチで意識していたこと
当日午後、開催されていた「楽天ITスクールNEXT」からの流れで、会場には全国各地から来た高校生の皆さんの姿がありまして。
また高校生の皆さんのチャレンジを支えてこられた楽天の社員の皆さん、地方自治体の皆さんや教員の皆さんも来席されていました。
ということで、キーノートスピーチでは特に、次世代を担う皆さん、地域に暮らす皆さんにこそ聞いていただきたい内容を意識してお話しました。
■「あなたを幸せにするPiggyちゃん」
キーノートスピーチで登場してもらったのは、有名な青いPiggyちゃんです。
どこかで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このPiggyちゃん、お腹が4枚にスライスされていまして。
- SAVE
- SPEND
- DONATE
- INVEST
の4つにカテゴリが分かれています。
以前、「社会的インパクト投資拡大に向けた提言書2015」でも取り上げたのですが、日本人って一般的に「SAVE」しなさい=お金を貯めなさい、という教育をしがちですよね。
でもそれだけでは人間は幸せになれないこと、そしてDONATE(寄付)には人と繋がる力、未来を託して誰かを信じる力、その見極めのための視点を養うトレーニングの機会としての力があることを、お話させて頂きました。
■能く集め、能く散ぜよ
もう一つ、お話させて頂いたのは、渋沢栄一翁のお言葉に関連した内容です。
渋沢栄一さん、世田谷コミュニティ財団の取り組みを始めてから、どんどん興味が広がり、書籍などを通じてその生き方や思想を折に触れて学ぶようにしています。
(田園都市株式会社の創始者でもある渋沢栄一さんは、世田谷とはとても所縁が深い方です。)
また世田谷コミュニティ財団の評議員をして頂いている澁澤寿一さん(ご子孫のお一人です)からも、評議会の場を通じて、とても含蓄のあるお言葉を頂いており、そのことも強く影響しています。
渋沢栄一さんはかつて、「能く集め、能く散ぜよ」と言われたそうですが、「散ずるのであれば、その散じ方を考えよう」というお話をさせて頂きました。
ちなみに…こちらの写真。
渋沢栄一翁のまた別のご子孫である渋沢健さん率いる「コモンズ投信」さんが中心となり開催されていた「寄付の教室」にて、我が娘が参加したワークショップのシートです。
(渋沢健さんとは、上述の社会的インパクト投資に関する提言書の発行主体でもあるGSG国内諮問委員会にてご一緒させて頂いています。)
日本の金融教育って、家計管理やクレジットカードの使い方や詐欺被害防止などが中心ですよね。
それはそれでとても大切なのですが、未来世代には、「よりよく使う」その時に「その次の社会のために、自分のお金に何ができるか」を考える機会にもぜひ触れてほしいなと思っています。
その意味でも、今回高校生が多くいる場で、「ソーシャルグッドな寄付」についてお話できたことは、私にとってもとても嬉しいことでした。
■楽天株式会社、地方創生部の皆さんのプレゼンテーション
私のお話の後は、楽天株式会社・地域創生事業部の皆さんからのプレゼンテーションです。
詳しい内容は既にこちらで記事にまとめられています。
合計5名のプレゼンターが登壇されたのですが、もうそのエネルギーたるや!素晴らしい熱量でした!
「楽天」って、ITの会社で、グローバルカンパニーで、日本でも先駆的に英語公用語化を表した超・先進企業だと思います。
一方で「地域から日本を元気にする方法」を真剣に考えていらっしゃる会社なのだと思います。
地方創生部の皆さんのプレゼンテーションを受けて、地方創生部のリーダーである塩沢さんとのセッションを持たせて頂いたのですが、塩沢さんのご発言の一つ一つから、
- 本当に地域を歩いている方だからこそのリアリティ
- 地域で頑張る人を心から応援したいと思っている
ことを感じました。
■企業発のサステナビリティを改めて真剣に考える
今回お邪魔させて頂いた楽天IDO。
楽天株式会社のサステナビリティ推進部が中心となって開催されたイベントでした。
翌日には楽天サステナビリティ推進部がもう一つの目玉として取り組むRakuten Social AcceleratorのDEMO DAYが開催され、前日にあたる金曜には関係者向けのステークホルダー報告会が開催されるなど、実に盛り沢山な内容でした。
ITスクールNEXTにせよ、Social Acceleratorにせよ、企業が単体で取り組むのとは異なり、多様なステークホルダーとの調整や、支援先のサポートなど、大変な手間と時間がかかる取り組みにチャレンジされていると思います。
自分自身もコンサルタントとして、また世田谷コミュニティ財団の代表として、
「支援先の成長の応援」や
「チャレンジャーを支えるコミュニティの構築」
に試行錯誤しているからこその実感なのですが、これってある意味「誰かを信じて託すこと」ができないと成立しないことなんですよね。
支えた相手が本当に成長意欲を持っていなければ結果なんてでませんし、でも社会貢献やCSR、サステナビリティの担当者としては、会社から成果を求められる立場でもある。
それでも「信じて託す」やり方を選ばれている勇気は本当に素晴らしいと思いますし、その勇気があったからこそたくさんの方の共感を集め、成果を生んでいるのだと思います。
「今回は〝楽天としてのチャレンジ”を皆さんに報告する場だったが、将来的にはもっと多様な方が集まる場にしたい、文字通りのソーシャルインパクトの祭典にしたい」
という趣旨のことを仰っていました。
- 楽天ITスクールNEXTのような地域からの学び
- あるいは寄付や社会貢献についての学び
- あるいはSocial Accelaratorのような社会起業家とのコラボレーションによる学び
が、地域や企業を超えて横断的に共有される場が、また新しく生まれる未来を期待したいですし、そうした場が実現できるように、具体と実践を積み重ねていきたいなと思った瞬間でした。
ご一緒させて頂いた皆さま、ありがとうございました!