東京ソーシャルビジネス・アクセラレーター、開催発表会にお邪魔して参りました。
第一勧業信用組合さんが新しく始める「東京ソーシャルビジネス・アクセラレータプログラム」の開催発表会にお邪魔して参りました。
第一勧業信用組合さんは、東京都新宿区四谷に本店を置く信用組合です。
営業エリアは東京都内と千葉県西部。
店舗数は都内26か所。
昭和40年設立
出資金総額は116億円
預金高は3,171億円
貸出金は2,456億円
役職員は375名。
組合の基本方針は
- 人とコミュニティの金融
- 育てる金融
- 志の連携
とのこと。
理事長の新田信行さんが2017年に出されたこちらの本を読んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「よみがえる金融 ~協同組織金融機関の未来」
https://www.diamond.co.jp/book/9784478102664.html
■GABVへの加盟
GABV(The Global Alliance for Banking on Values)とは、金融業界の持続可能性向上やポジティブインパクトの創出を目指す金融機関等による国際的なネットワークです。
現在は54の金融機関と7つのstrategic partners によって構成されています。
加盟する金融機関は世界各地にありますが、日本では加盟する金融機関が長く登場しませんでした。
しかし第一勧業信用組合さんがついに昨年、GABVへの参加を果たされました。
凄いことです。ちなみにGABVは署名型のネットワークではなく、活動実績の評価により、参加の可否が判断され、毎年度の更新が必要です。
GABVの代表であり、オランダのTriodos銀行CEOが来日された記念セミナーには、ご縁あってお邪魔させていただきました。
Triodos銀行のCEOが日本の金融機関のトップと並んでいる様子を見て、いよいよこういう時代が来たんだなと思い、とても胸が熱くなりました。
といいますのも、自分自身は過去、何度かソーシャルファイナンスやフェアファイナンス、コミュニティ開発金融に関し調べる中で、Triodosやコーポラティブバンク、バンカエチカなども訪問する機会がありました。そして訪問のたびに「日本ではソーシャルファイナンスは注目されないのか」と聞かれていたのです。
2009年には、Triodosほか複数のソーシャルファイナンス系の金融機関を訪問した際に、GABVに関する小冊子を頂きました。
その頃、GABVへの加盟数はまだ数行、それもかなり世界的にも先進的だと言われいてるオルタナティブ金融の雄ばかりが加盟するのみでした。
また当時の日本の状況では日本の地域金融機関や協同組織金融機関がわざわざ国際的なオルタナティブ金融のネットワークにコストをかけて加盟するとも思えませんでした。
それから10年近くたって、日本の金融機関の参加・加盟が誕生したことは、私にとっては本当に心躍る出来事でした。
■新たに始まった「東京ソーシャルビジネス・アクセラレーター」について
さて、本日発表になった「東京ソーシャルビジネス・アクセラレーター」について、です。
このプログラムは、
- ソーシャルビジネスに取り組む事業者を公募で募り
- 書類選考や面談、プレゼンテーション等を通じて支援先を選定
- 採択後3か月間の集中的なメンタリングを踏まえて事業実現に向けた成果を発表するもの、
とのことです。
主催は第一勧業信用組合さん。
運営は公益財団法人パブリックリソース財団が実施し、プラスソーシャルインベストメント株式会社も協力を行うとのことです。
地域金融機関が行うソーシャルビジネスに特化したアクセラレータープログラムとしては、日本初、とのことでした。
リリースに記載がないので詳細は控えますが、私自身も後半は、アドバイス側として本件に協力する予定でして、それもあって本日の発表の場にお邪魔させていただきました。
(プレスリリースはこちら。)
■最初に越えなければならないハードル
こうした案件、自分の経験から、主催側が最初に直面するハードルは、応募団体の発掘だと想像します。
蓋を開けてみなければわからないところもあり、非常に緊張し、労力を割かざるを得ない局面です。
今日お話を伺って、
- 第一勧業信用組合さんのネットワークの中から、趣旨に合致し成長力ある案件や人が見つかるか?
- 見つけるために、本プログラムの意義や価値、信組にとっての可能性を職員の方と共有できるか?
という点が、最初に越えなければならないハードルなんだろうなと思いました。
もちろん、東京という土地柄、事業者はたくさん存在しますし、アクセラレータープログラムも花盛りですので、それなりに趣旨に合致する事業者の方も潜在的にはいらっしゃると思います。
しかし、取り組むからには、第一勧業信用組合さんの今までの蓄積が活かされた形になることが大切なのではないかなと感じるのです。
もう少し解説すると、
「協同組織である地域金融機関がソーシャルビジネス支援を掲げるアクセラレータープログラムに取り組む意義」を考えた場合、
「普段のお取引先やその周囲のコミュニティの中から、”いまの東京・日本・世界に必要な課題解決/価値創造型ビジネスを職員と共に見つけ出すこと”が大切なのではないか」と感じたのです。
地域には本当にたくさんの事業者さんがいらっしゃいます。
その中には、社会性や公共性を帯びたものも数多く存在します。
地域に根差す金融機関だからこそ、身近なお取引先やそのコミュニティの中に眠る社会性を帯びた事業者さんを発掘し、その意義や価値を「今日的な意味での社会性」といった観点から意味づける機会を持つこと。
こうしたプログラムはそのための機会として活用しながら、事業者さんの周囲により伸びしろのあるコミュニティを作ること、金融機関としてそのサポートを行うこと。
新田理事長以下、コミュニティバンクの原点に戻り、事業の目利き力を高め、チャレンジングな融資商品を作ってきた第一勧業信用組合さんだからこそ。
専門家によるサポートと並行して、金融機関の中にある資源やネットワークを棚卸し、職員の方が新しい視点を持つ機会をプログラムの中に内在化させることが、とても大切なんではないかな、それこそが「持続可能な金融を、顧客と共に共通価値として生み出すこと」に繋がるのではないかな、そんなことを思いました。
募集要項はパブリックリソース財団のウェブサイトに掲載予定とのこと。募集期間は7/5までです。
ご関心のあるみなさま、ぜひチェックしてみてください!