渋谷のラジオ/西武信用金庫 髙橋一朗さんをお迎えして
火曜の朝は、渋谷のラジオ。
「渋谷社会部」のパーソナリティを引き続き、お引き受けしています。
今回のゲストは西武信用金庫 常務理事 法人推進部長の髙橋一朗さんでした。
髙橋さんとは10年来のお付き合いですが、改めて「地域密着型金融」を実践しながら、地域の価値向上に努められている様子を、リスナーの皆さんと共有したく、お招きした次第です。
■西武信用金庫とは
西武信用金庫さんは、東京都中野区に本店を置く信用金庫です。
営業エリアは東京・神奈川・埼玉の3都県にまたがり、店舗数は74店、預金残高は約1兆9300億で、約1,100人の職員の方が働かれています。
私が活動する世田谷では、2016年に三軒茶屋に支店を開設されました。
■そもそも信用金庫って?
「そもそも信用金庫って何?」という方もいらっしゃるかもしれません。
信用金庫は株式会社形態を採る「銀行」とは異なり、「利用者・組合員の相互扶助を目的とした協同組織の金融」です。
営業地域が一定地域に定められていて、預金を預けるには制限はありませんが、融資は原則として組合員を対象に行われます。大企業や営業地域外への融資は行われません。
言ってみれば、信用金庫とは、「地域で集めたお金を、地域の中小企業や個人につなぐことで、地域社会の発展を支える存在」だと言えます。そして非営利の金融機関です。
■この20年での変化
この20年で、日本の金融の状況は大きく変わりました。信用金庫について言えば、90年代から合併が進み、その数を減らしています。
1990年 451あった金庫は、2000年代に入ると激減、2001年~2003年の3年間で66の金庫が合併等で姿を失いました。
2018年度現在では、261の金庫が営業していますので、半減とまではいかないまでも、それに近い減り様です。
例えばhttps://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/dai2/siryou/20080919/02.pdf
あるいはhttp://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr08/pdf/chr08_f-1-8.pdf
http://www.scbri.jp/PDFgaikyousassi/gaikyou17/2017_03.pdf
そうした変化の中で西武信用金庫さんの直近のディスクロージャー誌やウェブサイトを拝見すると、
- 貸出金額は1兆円
- 貸出金額は業界No.1の増加率
- 預貸率は85.87%
という状況であることがわかります。
なお、預貸率とは、預金残高に対する貸出金残高の割合です。
パーセンテージが高ければ、預金者から預かったお金を、地域内に循環出来ていることになります。
もともと、「地域のお金を、地域内の事業者に循環させることで、地域社会の発展を支える」ことが信用金庫の使命ですから、パーセンテージが高い=ポジティブなことです。
ちなみに2017年度の信用金庫の預貸率の全国平均は50.3%です。これと比べると、凄さが伝わるでしょうか?
預貸率って何?という方はこちらもどうぞ。データは2015年まで掲載されています。http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/html/b2_5_1_6.html
信用金庫統計編 2017年度 http://www.scbri.jp/PDFgaikyousassi/gaikyou17/2017_05.pdf
番組の中で高橋さんは、金庫としての柱を
- 中小企業の支援をしっかりと行うこと
- まちづくりの支援を行うこと
- お客様の資産を守り育てること
の3つだと説明して下さいました。
1.はまさに信用金庫の本丸。事業支援を通じて、中小企業の経営者の皆さんの悩みを聞き、専門家や大学、他企業と繋ぎ、事業上の課題解決や売上向上に尽力されているご様子をお聞かせ頂きました。
2.のまちづくり支援は、具体的には、NPOやソーシャルビジネス、あるいは自治体とのタイアップなどが該当します。
この15年ほどで強化されてきた取り組みとのことです。
例えば、NPOやソーシャルビジネスを主な対象とした「西武コミュニティローン」の貸出実績は既に550件、164億円に達したとのこと。
また、日本財団さんとNPO法人ETIC.さんとのコラボレーションで実現した「西武ソーシャルビジネス成長応援融資 CHANGE」も既に66件・523,940千円の貸出実績をお持ちです。(2018年7月末現在)
CHANGEのサイト
http://www.seibushinkin.jp/service/kariru/change.html
「金融機関とまちづくり」というと、意外な組み合わせと感じられるかもしれません。
しかし高橋さんは、「その二つはダイレクトに繋がっている」とおっしゃいます。
・信用金庫とは地域に根差したもの
・地域の発展がなくては、地域密着型金融は成立し得ない
・地域の豊かさを追求することは、西武信用金庫自身のためでもある
と、番組の中では発言して下さいました。
お話を聞きながら、髙橋さんが仰っていた3つの金庫の柱
- 中小企業の支援をしっかりと行うこと
- まちづくりの支援を行うこと
- お客様の資産を守り育てること
は、地域という「面」で捉えると互いに強く関連していると感じました。
企業がなければ地域経済は立ちいかない。
でも地域社会は、貨幣経済だけで成り立っているわけではなくて、目に見えない支え合いや貢献がその陰にある。
まちづくり、民間の公益的な活動は、生活の中での課題や困りごと、こうしたいという希望から始まる。
地域の中小企業で働く人は、地域社会の一員、生活者でもある。
生活の中での困りごとが解決されないままでは、経済的な豊かさはもちろん、本質的な意味での豊かさも、享受できない。
だから、上に書かれた3つの要素は不可分である。統合的に維持できて初めて「地域社会の豊かさ」が成立するんだろうな、と思ったわけです。
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そんなことを考えながら過ごした渋谷のラジオの1時間。とても学び深い時間になりました。
番組の様子は下記のウェブサイトにあるリンクからも、お聞きいただくことが出来ます。
宜しければぜひ、お聞きください。
—以下、番組noteからの引用—-
渋谷社会部 〜金融機関のコミュニティ支援〜
2018年9月4日(火)9:00〜10:00
https://note.mu/shiburadi/n/na39f1f28c88e
→リンク先から音声を聞くことが可能です
【編集・文章】
田口翔大
西山真莉絵
永井楓
<おまけ>
いつも番組の進行をサポートしてくれるディレクター役の田口さん、西山さんと。
お二人の安定した進行のお蔭で、安心して番組に臨むことができています。いつもありがとう!