伴走者はチャレンジャーにとってどんな存在であるべきか(プロボノで地域貢献~川崎スタイル~を通じて考えたこと)

先日、こんなイベントに登壇しました。

「プロボノで地域貢献 ~川崎スタイル~」(かわさきプロボノ2017報告会)
PDFチラシ:http://shimin-shikin.jp/image/upload/z28b.pdf

 

川崎市が主催されたイベントで、運営は「かわさき市民しきん」さんが協力されています。
(かわさき市民しきんのウェブサイトはこちら http://shimin-shikin.jp/news.php#28

 

私は冒頭に講師としてお話させて頂きました。

 

 

登壇する際は、常に「自分が普段やっていること」や「考えてきたこと」をどうやって皆さんにお伝えしようかと四苦八苦しながら資料を作成します。

今回は「プロボノはチャレンジャーの伴走者」であるという前提に立ち、「チャレンジャーを応援するにあたって、自分がチャレンジャーと向き合う時に大切にしていることは何だろう?」と自問自答しながらお話しました。

以下、あくまで自分の経験ですが、自分なりの現時点での解とまとめを記しておきたいと思います。

 

川崎市さんからの冒頭のご挨拶

まず、

 1.伴走者として向き合う際に大切にしている姿勢やあり方について。

伴走者として、根源的な姿勢として大切なことは、チャレンジャーへの「敬意」と「尊重」ではないかと思います。

 

真剣にチャレンジすればするほど、課題解決に取り組むことの大変さに気づきます。

責任を持とうとするからこその孤独や焦りに苛まれます。
「共感は力」だと知りながら、なかなか周りを巻き込めない苛立ちに毎日ひりひりします。
社会課題の解決に向き合うことは、自己利益の最大化とは異なる喜びや豊かさがある一方で、上のような孤独や焦りとも背中合わせです。

それでも社会課題の解決にチャレンジしようと手を挙げている。そういう存在に対して、敬意と尊重はマストだと思います。

 

そして、誰かに伴走するということは、常に「背景」や「考え方」の違う者同士が出会うことを意味しますが、その時に、「敬意」と「尊重」があれば、実はたいていのトラブルは未然に防げるのではないかと感じます。

その意味で、プロボノとして伴走する場合に何よりも大切なことなのではないかと思うのです。

会場の様子

 

次に、2.アントレプレナーにとって、あるいは団体にとって、伴走支援の担い手とはどんな存在であるべきか、という点について。

私は、「ペースメーカー」という3つの言葉が一番腑に落ちています。

これはきっと、私のオリジナルではないんじゃないかな。momoかな?あいちコミュニティ財団かな?何年も前にどこかで教えてもらったことのように思います。

でも今や、自然に言葉に出てくるほど、自分の中では腑に落ち感があります。

実際に団体/起業家に伴走していて思うこと。

それは、

  • 問いの答えはチャレンジャーの中にあることが殆どである」ということ。
  • 絶対解は存在しないので、「解」を聞かれても伴走者がそれを提示することは不可能である」ということ。
  • 「(人生をかけたチャレンジは特に)納得できないと動けないので、先回りして答えを教えても意味がない」ということです。

 

むしろ伴走側が「あり方」として大切にしなければならないのは

  • 真の姿を映す、ゆがんだ像を結ばせない良い鏡であること
  • 自らの状況を内省し理解を深めるための壁打ち役であること
  • 「やる」あるいは「やらない」と決めたことが着実に出来るように、ペースメーカーとしての役割を果たすこと

の3つではないかと思います。

今回の開催協力者、かわさき市民しきんの廣岡さん

では、3.良い鏡・良い壁・良いペースメーカーであるために必要なことは何か

私は

  1. アセスメントを正確に⾏うこと
  2.  仮説を持つこと
  3. 戻ってこれない失敗をしない/させないこと

の3つだと思っています。

 

1.は状況の把握ですね。相談相手の抱えている真の課題は何だろう?と考え続けること。同時に強みは何だろう?逆に不得意は何だろう?と考えて、できるだけ良いところを活かしきり、不足能力はどこかから調達して補完する、ということかなと。これも色んな人とコミュニケーションする中で少しずつ納得解になってきたこと。

2.は、起こしたい変化と、取り組んでいるアクションが繋がっているか、論理的な飛躍がないか、ということを一緒に考えます。

3.の意味は、「人・モノ・カネ」の過剰投入を防ぐ、ということです。NPO・ソーシャルビジネス、ソーシャルベンチャーは人・モノ・カネが少ない中で運営していることが殆どで、振りかぶってアクションして、手痛い失敗をすると組織そのものが崩壊してしまったり、代表者やPJの責任者が燃え尽きてしまう。

だからチャレンジの大切さは尊重しつつ、過剰な資源投入(特にお金)せずにどうやって効果を最大化できるか、一緒に考えることが大切かなと思います。

—-

伴走支援には、またプロボノのプログラムには、ひとつ一つ、一人ひとりそれぞれ個性があり、地域や組織ごとに特性があると思います。

プロボノはある種のマッチングを伴うので、人と人との相性次第で、あるいは組織と人の熟度やレディネスに応じて成果は変わります。

その意味では絶対解も終点もありません。

私も試行錯誤の毎日で、上に書いたことが全てではないかもしれない、きっとこの先もっと広がっていく知恵もあるんだろうと思いつつ、現時点で共有できることを自分の考えとして、まとめてみました。

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