前編:定着するか?Bコーポレーション〜認証取得企業の登場から考える

今日のテーマはBコーポレーション。

先日セミナー、「Bコーポレーションを知る会」に登壇しました。

これを機に考えたことを纏めておきたいと思います。

前編はセミナーの振り返りを。
後編はBコーポレーションが日本に定着するためには何が必要か、考えます。

   

BlabBコーポレーション・ベネフィットコーポレーションに関する簡単なまとめ

本題に入る前に、すこしおさらいです。

混乱しがちな3つの「B」を、まずは整理。


Bコーポレーションを知る会_水谷

Blab
Bコーポレーション・ベネフィットコーポレーションとは?>


B lab

まず、Blabとは、2006年に設立された、米国に本拠を置く非営利組織です。

事業の柱は2つ。

ひとつは、「B Corporation」の運用

もうひとつは、「BenefitCorporation」採用・法整備に向けた働きかけを行うこと

です。

 

Bコーポレーション

Bコーポレーションは、「B labが制定した基準によって、民間企業の社会性を認証する仕組み」を指します。   
   

英語表記での正確な表現は、「Certified B Corporation」です。

Bコーポレーションの場合、認証主体は「B lab」です。つまり民間が決めた独自の社会性基準で認証する仕組みとなります。

営利法人のみが対象、非営利法人は利用できない点も特徴です。

これは、この制度が当初から一貫して、「企業の社会性」を認証する仕組みという立場を取っているから、と、過去Blabの担当者にインタビューで尋ねた際に仰っていました。

 

Benefit Corporation

BenefitCorporationとは、行政単位で法的に認められる法人形態を指します。

この場合、B labは、「行政に対して法律面から働きかけを行う(=ロビー活動をする)主体」となります。

ちなみに、Benefit Corporationになるために、Bコーポレーションの認証を受ける必要性はありません。(但し、この 2つには共通点が豊富に存在します。)
 


◆今回のセミナーについて

主催は「日本Bコーポレーション推進支援委員会」さん。


共催は「G8社会的インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会」。


私はG8での議論のご紹介も併せて、後半のパネルディスカッションで進行役をご依頼頂き、登壇しました。


     


<Bコーポレーションを知る会>



◆日本にも、認証取得企業が登場!

私自身は、B コーポレーションについては、2000年代後半にその存在を知りました。

知った当初の感想は、なるほど、そういう仕組みがあるのか、と。魅力的だなあとも思っていました。しかし、この段階では海の向こうの遠い世界の話。

 

しかし、ここへきて、日本でもBコーポレーションの認証を取得した中小企業が登場したわけです。しかも既に3例。しかも東京ではなく、関東近郊の各地域から。

何もかもが東京中心で動きがちな日本において、画期的かつ嬉しい出来事だなあと感じました。

 

◆今回のセミナーの面白さ

今回のセミナーには、日本でBコーポレーションの認証を取得した3つの中小企業が登壇しました。つまり、まだ日本に 3例しかない認証企業が揃ったということ。

 

1社目はシルクウェーブ産業さん(群馬県桐生市)http://silkwave.jp/

2社目は石井造園さん(神奈川県横浜市)http://www.ishii-zouen.co.jp/

3社目はフリージア株式会社さん(埼玉県児玉郡)

 

シルクウェーブ産業さんは、桐生市の基幹産業である繊維業の担い手。技術革新にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

 


石井造園さんは、長きに亘り、地域と社会に貢献することを掲げ、本業の造園業での環境配慮活動や、長期実践型インターンシップの受け入れなどを通じた人材育成・地域貢献とに取り組まれています。

 


フリージア株式会社さんは、ご自身の考える理想の介護の実現を目指し、複数の介護施設の運営をされています。




 

登壇された3社の社長からは、事業意欲はもちろん、地域貢献、社会貢献にむけた高い意欲を感じました。

 

そして、その意欲の客観的な表明・第三者からの認証として、B コーポレーションに高い期待を寄せていらっしゃるんだなあ、と。

 


Bコーポレーションの社会性基準と企業

今回登壇されたコーポレートシチズンシップ雨宮さんによると、Bコーポレーションの基準は、

・ガバナンス

・従業員

・地域社会

・環境

・顧客

・コンプライアンス

6分類、40項目からなるそうです。

 


登壇各社からは、

「従業員が”自社を誇らしく思う意識”が高まった」という声や

「世界標準の社会性を持っていることが確認でき、自信につながった」という声が聞かれました。

 

また、「自社は当たり前に地域貢献や健全な企業経営にまい進してきた。もちろん、語学の壁はあるけれども、そういう企業であれば、Bコーポレーションの取得は必ず出来る。」という力強いご意見も。

    

   

◆定着するか?Bコーポレーション。産まれるか?ベネフィット・コーポレーション。

上にも書いた通り、今回Bコーポレーションの取得企業が3例も誕生したことは、本当に喜ばしいことだと思います。また、これに際してのコーポレートシチズンシップさんの御尽力も大きかったのだろうな、と。

さて、ここまでが前半。

考えなければならないのは、Bコーポレーションが本当に日本で定着するのか?という点です。

ということで後編に続きます。

※ブログ掲載の写真は、当日ボランティアで手伝ってくださった、砂岡そらさんからお借りしました。

またプログラムの運営は、登壇もされたシチズンシップ・コーポレーションの雨宮さん、SROIネットワークの大沢さん、K3の幸地さんが絶大な貢献をされていました。感謝と共に記しておきたいと思います。

   


2016年12月12日 | Posted in 過去ブログからの移行記事(2017年3月以前) | | Comments Closed 

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