休眠預金活用法案 成立
10年以上資金の移動がない預金を社会課題解決に活かす「休眠預金活用法案」。
今日、参議院を通過し、法案が成立しました。
休眠預金活用法案は、東日本大震災、政権交代、国家戦略室の廃止、自民党政権における議論の再燃、議連発足、膠着状態からの脱出など、紆余曲折あって成立した法律。
民間側からも、休眠口座国民会議の発足、休眠口座白書の発行、全国キャラバン、セミナーやシンポジウムの度の話題提供や進捗共有など、色々な動きがありました。
金融機関側の態度変化もありました。預金者の権利保護、過去の預金への遡及はしない、法的措置を取る、など大きな3つの取り決めも、この議論が前に進んだ要因なのだと思います。
2014年にこのレポートを出した頃は、膠着状態がだんだん溶けてきた頃。それでもまだ先行きは不透明でした。
「どう活かす?休眠預金 ~民による社会課題解決を活かす仕組みをつくるために」
http://www.murc.jp/publicity/press_release/press_141009.pdf
2016年にこのレポートを出した頃は、法案成立間近、しかし最終エンドはどこに?という気持ちでした。
「休眠預金に関する意識調査結果」
http://www.murc.jp/thinktank/rc/politics/politics_detail/seiken_160926
議論が積み重なりつつある、社会的インパクト評価も、休眠預金のリアリティがあって、ドライブがかかったように思います。
(もちろん、社会的インパクト評価は、休眠預金のお金があろうがなかろうが、進むべき話だと思っていますが。でもやっぱり影響は大きかったと思います。)
「休眠預金活用法」を加速要因の一つにしながら、この先きっと成果志向は当たり前になっていくのだと思います。
そしてそこでいう「成果」は、目先のことでなく、長期的・本質的な視点を必要とするわけです。(そうでなければならないと思います。)
そして、それを考える上では、何を持って成果とするのかという根本的な議論をずっと、積み重ねていかなければならないのだと思います。
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以前のブログに記載した通り、私は
の3つが大切だと思っています。
http://blog.livedoor.jp/mizutanieri/archives/13293176.html
1・2は当然のこと。
そして既に法案に「ここに配慮する」と書かれているから、それをいかに具体化していくかが問われます。
3も同様、法案にそう記載があります。以前のブログ記事では、具体化のためには、トレーニングの機会が欠かせないこと、上辺の評価ではなくて、真の意味での成果志向が求められること、を主張しているつもりです。
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今回、新聞社から複数取材を受けて、上の3つが大切、と繰り返しお伝えしました。
しかし、「成果志向」については、記者さんに説明を試みるものの、上の2つに比べて理解するのが難しいよう。(もちろん、こちらの説明の巧拙もあると思いますが。)
しかし、3がなければ、「民間の柔軟性を活かした資金活用」を続けることは、どこかの時点で難しくなると思います。だからこそ、欠かせないファクターだと思います。
そして、前向きな動きとして、社会的インパクト評価イニシアチブのような具体的ソリューション・知見のプラットフォームがあるわけで。
私自身も、内閣府調査やワーキンググループを通じて、その必要性をますます感じました。
そして、既に様々な蓄積のある「評価」という知見と、うまく接合させることが必要だということも。
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私自身が「休眠預金」という言葉を知ったのは、2009年頃のこと。最初に知ったのは英国の事例でした。
当時訪問した、The Cooperative Bankの本部で、この話を最初に聞きました。最初は何を意味しているのか、話が噛み合わず。しかし話を聞くにつれ、すごいなあ、さすが違うなあ、と思ったわけです。
でも、そこから数年で、休眠預金だけではなく、社会的インパクト投資も、コミュニティ財団も、ベンチャー・フィランソロピーも、社会的インパクト評価も少しずつ私たちの国にやってきた。今日はB-コーポレーションについてセミナーをしてきましたが、取得企業の登場、しかも地域の中小企業から始まる、なんて、2008年には全く想像もつかなかった未来。
休眠口座白書の終わりの方にあった、このひと言。
「もし日本で休眠口座基金ができたら、あなたはどのように社会を変えますか?」