NPOやソーシャルビジネスが成果志向になるために (前編:成果志向を阻害する要因)
魅力的なNPOやソーシャルビジネスは事業の質にも成果にもこだわる。
だからこそ、支援や共感がより集まりやすくなるのではないかと思っています。
でも常に成果志向であることって案外難しい。特に補助金・助成金の世界では。
どうして?と考えながら、12月のとある週末、こんなセミナーに登壇しました。
「成果志向の補助・助成金推進会議 in あいち」発足記念フォーラム
~想いを「本気で」カタチにするNPOを育むには?~
フォーラムは、「成果志向の補助・助成金推進会議 in あいち」が主催したもの。
「成果志向の~推進会議」の目的は、「NPOを補助金・助成金でサポートする側が学び合うネットワークをつくること。
お話させていただいた問いは、
「どうしたら想いを本気で形(事業)にするNPOを応援する補助金・助成金を運営できるのか」ということでした。
その時お話したことと、伝えきれなかったことを備忘含めて書いておこうと思います。
■成果志向を阻害する要因
NPOやソーシャルビジネスは、そもそもミッション志向であるもの。
でも補助金・助成金の世界で、常に「成果志向」であることって、できそうで出来ないことだな、と思うのです。
その要因は何だろう?と考えると次の3つが浮かびました。
1.「到達目標」に対する双方のグリップの甘さ
ここでいう「双方」は、
・お金を出す側(助成金や補助金の出し手ですね。)と
・貰う側(団体のことですね)の2者を指します。
つまり、お金を出す側も、貰う側も、「このお金で何をするのか」はっきりしないまま事業がスタートしてしまうことが多いんじゃないか、ということです。
その要因をさらに考えると、「形式主義」という言葉が浮かびました。
補助金・助成金って、どうしても申請段階のペーパーにこだわってしまう。
それなのに、申請段階・採択段階でのコミュニケーション(例えば申請書の全体はいいんだけど、ここは変えて欲しい、みたいなことです)をコミュニケーションすることって本当に少ない。
私自身は、助成金や補助金の審査委員をやらせて頂くことも、その事務局を担うこともあります。その時感じるのは、「審査委員会」があると、「申請されたもの」を「採択した」という形式にどうしても依存してしまうということ。もちろん根拠あって選んでいるから、そこに立脚するのは当然なのだけれども。
そして「そのお金を通じて何を達成するのか」が、お金を出す側と貰う側ではっきりと認識が生まれないまま、事業が走り出してしまうことって往々にしてあるように思います。
2.「振り返りや評価」に対する双方の意識の甘さ
「到達目標」や「達成目標」が明らかでないと、評価や振り返りが出来ない。
何を評価していいかわからない状態に陥ります。
そうすると、お金を貰った側は、自分たちが貰った資源で、お金を渡した側は提供した資源で、何を変えたか、何が変わったか、説明することが出来ない。
また反対に事業をやめたり、別の団体にバトンタッチする合理的な理由が見いだせなくなってしまう。
つまり、目標設定と評価がない状態は、結果として健全な競争や担い手の入替えが生まれにくい環境を作ってしまいます。
いくら資源(ヒトモノカネ)を突っ込んでも、自分たちが何を変えたのか説明できない。
お金を出している側も、成果が見えなかったら、支援し続けようとは思えないですよね。
3.単純な力量不足・リソース不足
評価ってなんとなく難しそう。小学校の通信簿貰うみたい。優劣つけるなんて嫌。
と、アレルギーを持つ団体も少なからずあるように思います。
それはそれで問題なんだけど、それ以上に深刻だなあ、と思うのが、単純に力量やリソースが不足しているということ。
成果志向や評価といわれても、なかなか前向きになれない。
そして評価している暇があったら事業したい、という気持ちになることも多いのではないかなあ。
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じゃあこの負のサイクルを、どうやってひっくりかえすか。
続きは次の投稿で。