仮想理事という存在:VBMのコーディネートをしながら思ったこと。

社会起業塾、本年度の支援先「のびのびと」さん、初のVBMでした。

VBM。何やら聞きなれない3文字かもしれませんが、何のことはない、

バーチャル(Virtual)

ボード(Board)

ミーティング(Meeting)

の頭文字を取った、造語です。

※社会起業塾についてはこちら。

(ETIC.さんのwebサイト)

http://kigyojuku.etic.or.jp/

社会起業したい若者(概ね35歳以下)が事業を磨き、仲間を作り、課題解決を加速化させるためのプログラムを提供しています。なお私は起業塾の歴史の約半分ほどをコーディネーターとしてご一緒しています。

今年は「子どもの発達に悩みを抱えるご家族や、その周囲にいる保育士や事業所に勤めるスタッフなどを支援すること」を掲げる「のびのびと」という組織のスタートアップに、半年間伴走しています。

◆のびのびと、初のVBM

「のびのびと」さんは、現在任意団体として活動中。

以前から言語聴覚士として働かれている森垣さん、臨床心理士として働かれている坂本さんのお二人が中心になり、団体を立ち上げられました。

https://nobinobito.jimdo.com/staff/




任意団体である、ということもあり、法人としてのリアルボード(例えば理事会など)も経験がありません。

まさに、経営面からアドバイスを貰う、初めての機会となりました。




◆VBMにご参加下さった方

今回のVBMには、

・山崎繭加さん

鈴木大輔さん(
社会福祉法人にじのいえ

北山剛さん(
特定非営利活動法人ソーシャルデザインワークス

のお三方がゲストとしてご参加されました。

(ちなみに山崎さんは、「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」を書かれた方です。)

なお、お三方はそれぞれ初対面同士とのことでした。

お三方には、社会起業塾の半年間を通じてのびのびとが考えた事業計画と現在までの施行を説明した上で、「仮想経営者」の立場から、コメントを頂きました。




また今回は、初回のVBMだったということもあり、私が進行を担わせて頂きました。

実際のディスカッションの様子や団体目線で見た仮想理事会の感想はこちらからどうぞ。

「のびのびと blog」

https://note.mu/nobinobito/n/n4c3e90386c93




◆仮想理事の難しさ

仮想理事、実は凄く難しい立場なんです。

私が思うにその理由はいくつかありますが、絞れば

1.起業家からの限られた(場合によってはまだ纏まっていない)情報提供の中で、意味ある問いを投げる力が問われる

2.踏み込むべきか、踏み込まざるべきか、判断する力が必要である

3.批判ではなくて問いや提案、ネクストアクションを導く力が必要である

という3点に集約されるのではないかと思います。

今回は進行側でしたので、その立場で言えば、そうした難しさがある中で、

・どう、ボード側のご参加者に気持ちよく、かつ本来持っている意見や提案、提供可能なチャネルを出しやすい場にするか

(つまりは、起業家にとって意味ある発言をし易い場にするか)が、大切なポイントになります。



〈ボードメンバー側。事業の内容や思いを理解しようと自ら整理してくださっている様子〉

また、起業家に対しては、

・どう試行錯誤のプロセスや大切にしたい点をコンパクトかつ適切に伝えるか

(そしてそれをどうしたら自分の言葉で伝えられるようになるのか)

共に考え、事前段階からこちらも試行錯誤します。




〈起業家側。準備した内容を伝えようと懸命です。〉

なにせ、仮想といえども理事。

踏み込んだ発言や芯からの揺さぶりは大歓迎なわけです。

(そして踏み込むのであれば躊躇せずに踏み込む必要もある。)

しかし、そこは人間。踏み込む上では躊躇もあり、踏み込まれる側も、リアリティがない踏み込みや、解が無い批判では困る。経営者の立場では、もちろん押さえのない場当たり提案もノーサンキューだと思うに違いありません。

そうしたそれぞれの立場を想像しつつ、初対面の方ばかりの場でどこまでリアリティあるコメントや提案を引き出しているのか、進行側も大変鍛えられます。




〈支援して下さっているのNTTドコモさんもご参加下さいました〉

◆大変さ、同時に面白さ

最後にVBMの面白さを。

VBMに参加する面白さ。それは

「考え抜いた事業計画に、仮想とは言え新たな視点を注入できること」だと思います。

(逆に言えば、考え抜かれていなければ、参加する側の面白さは半減する。)

面白い人、面白い事業、面白い計画は、大抵自分なりの考えや意見がしっかりある。それが魅力になる。

それを聞き、さらに知恵を付加できることは、とてもワクワクすること。だからこそ、考えて考えて考えて、その上で開かれる社会起業塾のVBMは、面白いのだと思います。(そしてだからこそ、我々コーディネーターは、起業家に適切にハッパをかけることが求められているのだ、とも。起業家にとっても人生の中で、自分のやりたい事を真剣に考えることほど苦しくて、楽しいことは無いですしね。)

今年度の社会起業塾の卒業式は3月半ば。明日も集合研修が予定されています。

起業家に頂いた意見は、コーディネーターとしても大切な財産。

明日もまた、起業家の試行錯誤にしっかり向き合いたいと思います。

2017年01月19日 | Posted in 過去ブログからの移行記事(2017年3月以前) | | Comments Closed 

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