「相互メンタリング」の魅力:人のふり見てわが身を相対化できるか?
公益信託世田谷まちづくりファンド、キラ星応援コミュニティ部門の「キックオフ会」を開催しました。
12月の初旬に最終選考会で採択先が決定。
キックオフ会は、最終選考会の後に初めて皆で顔を合わせる場。
助成先団体とメンターの皆さんが一同に会し、気持ちを新たに、助成期間を走り切る心構えと覚悟を持つ場でもあります。
◆キックオフ会で試みたこと
今回は
「他団体のメンタリングを相互に見合うこと」を中心に置いた進め方を採りました。
キラ星では、伴走支援を行なっていますが、
・普段は、「団体&伴走支援役のメンター(←プロボノ)の関係で完結していて、横のつながりには乏しい
・現状のキラ星では、「研修」や「講座」を企画する余裕はない、そしてそれで身につくものでもない(もちろん得るものはあると思いますが)
・結果、メンターの振る舞いは、個人の資質や得意に依拠する部分が大きい
(それはポジティブでもネガティヴでもある)
という状況にあります。
そこで、キックオフ会を「相互にやり方を見て真似る・盗むという機会にする」ことで、メンターと団体の皆さんの視野を広げる&相対化することを試みました。
(もう少したったら、メンター向けのいろんなボトムアップ支援も考えたいですが、今の所の最適解として。)
◆具体的な進め方
具体的には、
1.この1ヶ月の現状の共有
(団体が主に喋る時間=5分)
2.メンター×団体のメンタリングセッション
(担当メンターが問いかけ、団体が答える時間=7分)*その間、他の参加者は様子を観察する。
3.メンター以外の参加者も含めて全体セッション
(全員でディスカッション=15~20分)
という3ステップを
前半=継続助成先(2団体)
後半=新規助成先(3団体)
に分けて、2サイクル回しました。
上の写真でいうと、
・机に座っている人=担当メンター(黒い服の男性)と支援先(真向かいに座っている女性)
・周りを取り囲んでいる人=その他の人々
という構図です。
そして最後の20分は再度「団体&メンター」のチームごとに机を戻し、中間報告会までにやり切ることを、考え、決めて、宣言してもらいました。
◆今回のキックオフ会の目的
キックオフ会は、基本的に採択団体とそのメンター(あるいは、最終選考に残ったけれど惜しくも落選したファイナリスト及びそのメンター)が集まる場です。
従って、
・半年間の走り方を考え、深めて、決めること
・キラ星のコミュニティとして、相互の関係性を深めること
を意識して運営しました。
特に後者については、「他団体のメンタリングを観察する」時間を設けることで、横の繋がりが深まったように思いました。
「支援先団体とメンター」という、伴走支援にありがちな関係性を超えて、
「メンターとメンターが繋がる」
「他団体へのメンタリングを実際に見ることで、発言や振る舞い、やり方の多様性を知ったり、良いところを盗む」
という試行ができたことは収穫だったと思います。
◆デメリットとそれを超えるメリット
この方法にはメリットとデメリットがあります。
デメリットとしては、
・団体内のことを良く知らない人もいるので、説明の時間を取らねばならない
・担当メンターは、「観察されている」時間は超緊張する
・メンター思考になれない人にとっては、多分言うことか見つからなくて、苦痛
しかし、やってみるとこうしたデメリットを遥かに超える効果があったように思います。
メリットは、
・他のメンターの振る舞いを知れる
・他者の力が借りやすくなる
(どんな人がこのコミュニティにいるか、誰がどんな得意を持ってるか、理解する機会になる、コラボが生まれやすくなる)
・自団体を相対化できる
(普段のメンターとのコミュニケーションを見直したり、良いところを取り入れやすくなる)
という点です。
◆参加者の評価、声
自分としても、どきどきしながらの進行でした。
が、終了後、意見を伺ったところ
・この形は良いので、定番化したい、
・他のメンターの振る舞いを見て、団体への尊重を伴っていれば、もっと踏み込んでアドバイスしていいんだとわかった
・自分の団体と先輩団体とのステージや考え方の相違をリアルに知れた
という声を頂きました。
自分の感覚としても、けっこういいな、と。
◆相対化・メタ化 :進行側としての学び
あとはこのブログで書いたことを、2時間の中で、参加者の皆さんに要所要所で伝え、意味づけができると、もっと成果がでるな、とも思いました。
話してみて、やっぱり人によって、認知をメタ化するとか、対象から視線を引いて客観的に見るとか、得意な人と不得意な人と、相当差があるなと思ったわけです。
だからこそ、メタ化する手がかりを提示しながら進めなきゃだめだな、と。
人のふり見て我が身を相対化できるかどうか、素直に真似ることができるかどうか。
運営側では、参加者がそういう思考になれるように、促す力があるかどうか。
それが、違いを産むんだな、と思いました。
プロボノコミュニティの運営に絶対解はないですし、現実的に考えると、運営側のキャパシティとの兼ね合いも考えなければなりません。
限られた資源と時間でどこまでできるか、運営する側も引き続き試行錯誤したいなと思った夜でした。
参加して下さったみなさま、夜遅い時間まで、ありがとうございました!