なぜ「生態系」なのか 〜世田谷コミュニティ財団のミッションのこと〜

◆どうしてこんなミッションを掲げたのか

世田谷コミュニティ財団のミッションは
まちを支える生態系をつくる」。

今日のテーマは「なぜこんなわかりにくいミッションを掲げたのか」です。

「生態系って何?」と、思いますよね。普通。
ということで、少し解説を。

◆生態系とは何か

まず、一般論として、生態系とは何か

「ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度閉じた一つの系と見なすとき、これを生態系と呼ぶ」

だそうです。なるほど。

◆まちを支える生態系とは何か

では、私たちがイメージしている「まちを支える生態系=エコシステム」とは何か。

ざっくりイメージを伝えると

  • 常に新しいものが産まれている
    (そしてそのチャレンジは否定されない。むしろチャレンジは愛でられる。)

 

  • チャレンジする人を応援する人が、沢山いて、その存在が可視化されている
    (だから頑張れて、フォロワーも産まれる)

 

  • 産まれるものがあれば、なくなっていくものも当然ある。それら全てが栄養になり、また新しいものが産まれていく
    (無駄なものはない。)

 

  • 支援する-されるという役割は固定的でなく、クルクルと交代しながら、関わる人がどんどん増えていく

 

そんなイメージです。

それは

1.新しい財やサービス、システムや仕組み、場を生み出し続ける仕組みをつくること

2.そのチャレンジを応援し、支えることが出来る仕組みをつくること

3.チャレンジする人と応援する人が、相互に刺激を受け、新しい価値観を得ること

4.支援する-されるを超えて、タイミングや役割に応じて常に立場が循環し、巡っていくこと

と説明できると思います。

 

◆どうしてこんなコンセプトに至ったのか

これ、キラ星応援コミュニティ部門で取り組んできたこと、そのままなのです。

世田谷コミュニティ財団設立に向けて、議論を重ねてきたメンバー(呼びかけ人)12人のうちの10人は、「公益信託 世田谷まちづくりファンド」の運営委員です。

運営委員以外のメンバー(残る2人)も、「公益信託 世田谷まちづくりファンド」として実施している助成プログラム「キラ星応援コミュニティ部門」で、メンター役を担っていました。

(ここでいうメンターとは、助成先に伴走するプロボノのことです。)

 

 

公益信託の25年の歴史、そしてキラ星応援コミュニティ部門を通じて、私たちは「支援する-されるという関係を超える」経験を重ねてきました。

支えている人が、支えられる側にまわる。
応援していた人が、応援される側にまわる。

そんなことが、普通に起こっていたわけです。

実際、初年度の助成先の1つだったfutacolab の代表者である磯村さんは、今年度から運営委員に就任されました。

そして財団設立の呼びかけ人にもなっています。

まさに、
応援されていた人から、応援する人へ」立場が転換したわけです。

◆目指すところは

エコシステムの成熟によって目指すところは、「まち全体の成熟や成長・進化」です。

そのためには何が必要か。
究極には、「まちに関わる人を増やすこと」だと考えています。

寄付を集めますが、それは、「寄付という手段で街や、そこに住む人に関わる・応援するという方法を提示すること」であり。

助成をしますが、それは「資金の提供」という形で、チャレンジする人を応援することであり。

プロボノは1000人規模にしたいと思っていますが、それは「始める人を応援することで、まちに関わる経験を持つ人を増やす」ということであり。

そしてその役割が、ぐるぐると巡りながら、少しずつ積み重なっていき、やがて1つの生態系に育っていく、そんなイメージをもっています。

だから、ミッションは
「まちづくり」でも
「NPO支援」でも
「資金集めて配る」でもなく。

まちを支える生態系をつくること
なんです。

◆自らもエコシステムの構成要素の一つになれたら

そして最後、付け加えれば。

私たち自身が「まちを支える生態系をつくる」というミッションを掲げる主体であることは間違いないのですが。

そしてそれに向かってちゃんとコミットする覚悟はありますが。

だからといって、私たちが中心になる必要もなく。

むしろ、自らも栄養分のひとつ、構成物のひとつとしてそこにある。

そんな生態系の一部になれたら、と思っています。

 

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